実際の出題 · 令和5年度(2023年)· 問4
令和5年度 宅建 問4の解説
相殺:自働債権の弁済期と期限の利益
問題文と正答・判断の根拠を、このページで確認できます。当サイトが作成した解説で、公式解説ではありません。
令和5年度 宅建 問4の問題文
出典:不動産適正取引推進機構・令和5年度試験問題。解説は当サイトが作成しています。
AがBに対して貸金債権である甲債権を、BがAに対して貸金債権である乙債権
をそれぞれ有している場合において、民法の規定及び判例によれば、次のアからエまでの記述
のうち、Aが一方的な意思表示により甲債権と乙債権とを対当額にて相殺できないものを全て
掲げたものは、次の1から4のうちどれか。なお、いずれの債権も相殺を禁止し又は制限する
旨の意思表示はされていないものとする。
ア 弁済期の定めのない甲債権と、弁済期到来前に、AがBに対して期限の利益を放棄する旨
の意思表示をした乙債権
イ 弁済期が到来している甲債権と、弁済期の定めのない乙債権
ウ 弁済期の定めのない甲債権と、弁済期が到来している乙債権
エ 弁済期が到来していない甲債権と、弁済期が到来している乙債権
1 ア、イ、ウ
2 イ、ウ
3 ウ、エ
4 エ
現行法・制度での正答:4
出題当時の公式正答:4。この問題の結論は、確認した現行法・制度でも変わりません。
資料確認日:2026-09-10。各記述の理由と根拠資料は下で解説しています。
正解は「4」
相殺できないのはエだけで、正答は4です。Aが請求する側の甲債権の期限を、Aが勝手に早めることはできません。
ひと目で比較・判断のポイント
判定は各記述についてのものです。「誤っているもの」を選ぶ問題では、×の記述が正解になります。
| 記述 | 判定 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 記述ア | 相殺できる | 自分が負う債務の期限の利益を放棄した民法136条・505条 |
| 記述イ | 相殺できる | 甲は弁済期にあり乙には期限がない民法505条 |
| 記述ウ | 相殺できる | 期限のない甲を自働債権にできる民法505条・591条、期限の定めのない貸金債権の相殺 |
| 記述エ | 相殺できない | 甲の期限はBの利益である民法136条・505条 |
令和5年度・問4・記述ア / 相殺できる
自分が負う債務の期限の利益を放棄した
甲には弁済期の定めがなく、乙についてA自身が期限の利益を放棄しています。相殺を妨げる未到来の弁済期はありません。
根拠:民法136条・505条 ↗令和5年度・問4・記述イ / 相殺できる
甲は弁済期にあり乙には期限がない
Aが相殺に使う甲は弁済期到来済みです。受働債権の乙には期限の定めがないので、相殺できます。
根拠:民法505条 ↗令和5年度・問4・記述ウ / 相殺できる
期限のない甲を自働債権にできる
期限の定めがない貸金債権を自働債権として相殺するために、返還催告後の相当期間の経過までは必要ありません。乙も弁済期が来ています。
根拠:民法505条・591条、期限の定めのない貸金債権の相殺 ↗令和5年度・問4・記述エ / 相殺できない
甲の期限はBの利益である
甲の債務者Bには期限まで支払わなくてよい利益があります。Aが一方的にその利益を奪って、弁済期前の甲で相殺することはできません。
根拠:民法136条・505条 ↗解説の確認について
出題基準日は2023年4月1日。問題文欄に記載した資料確認日に上記の法令・制度・判例を参照し、現在の規定に照らした解説を作成しています。専門家監修は未実施です。